「歴史の終わり」は終わった……、その後は……:「書斎の窓」12月号

「書斎の窓」2010年12月号に「「歴史の終わり」は終わった、その後は……」が掲載されています。「歴史の終わり」の後の現われた大小の壁と、リーマンショック後に、アメリカがとった政策、すなわち社会主義的施策!について論じています。以下のその一部です。

「一度は死んだはずの社会主義が、奇妙な仕方で蘇生してきたのだ。奇妙だというのは、その蘇生の仕方に著しい狡知——「歴史の狡知」の極端な事例——が見られるからである。社会主義寄りの政策は、普通は、資本主義が生み出す貧富の格差を是正するために、つまり借金まみれになったり、失業したりしている貧困層を救済するためにこそ用いられる。しかし、現在の社会主義的政策は、逆に、富裕層や(貸し手である)金融機関を救済するためのものである。資本主義にブレーキをかけるためではなく、失速しかれた資本主義のアクセルを踏むために社会主義が援用されたのだ。こうした政策が結果的に意味していることは、資本主義が存続するためには、明白な階級格差が維持されなくてはならない、ということである」