【新刊】〈自由〉の条件

〈自由〉とは何か。1999年から2000年、20世紀の最後に書かれた『<自由>の条件』が、このたび講談社文芸文庫になります。

まず、自由についての思弁的、また社会学的な探究が進められる。
やがて、現代社会における自由の本質的な困難が明らかになる。
そこで、自由を自由たらしめている要因の原点まで遡ることで、
〈自由〉が蘇生する可能性が示される。
なんと、他者の存在こそが〈自由〉の本来的な構成要因なのである。
つまり、〈自由〉とは、他者との共存、
つまり〈公共性〉という問題へと展開されうるものなのである。

すべての個人が自由であるべきだ、という観念は、近代が生み出した価値観のひとつである。ロベスピエールは、自由という永遠の観念への信仰がなかったら、革命は、他の犯罪を破壊するもうひとつのけたたましい犯罪に過ぎない、とまで述べている。さらに付け加えれば、自由は、「数ある価値のひとつ」だというに留まらない。二〇世紀の経験がわれわれに教えたことは、自由こそが最も重要な価値、他の諸価値の後ろにおいてはならない最も銃は価値だということである。それゆえ〈自由な社会〉はどのようにして可能なのかという問いは、今日の社会科学や社会思想の最も緊急の主題であり、〈自由な社会〉の構築こそは、政治の究極の目的であろう。
(略)
ところが、にもかかわらず、われわれは解放されているようには感じていない。寛容な社会に向かっているはずなのに、われわれの閉塞感は小さくはならない。それどころか、逆に、閉塞の感覚は強まってさえいる。ということは、自由を可能なものにする条件についてのわれわれの思考のどこかに盲点があるのだ。「まえがき」より

もくじ

1 自由と時間
   開封前に舌打ちするひと/祈りの時間性/二つの名前/触るとき/男と女
2 現代社会における自由の困難
   消極的自由/積極的契機の追補/蓋然性について/江夏の「この一球」と予期の階級的構成/資本の原理/不確実性を裏打ちする確実性
   /そして知っている者はどこにもいなくなった/リベラリズムの不可避の変質/回帰する超越性
3 記憶の困難
   私は伝送された?/分身/スキゾは本当にやってきた/記憶の困難/死の欲動
4 もうひとつの〈自由〉
   キリストの贖罪/〈自由〉のもう一つの可能性へ/不確定性の効用/マゾヒズム的転回/〈公共性〉に向けて
補遺

詳細は下記の講談社HPをご覧ください。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000317598