理想の国へ 歴史の転換期をめぐって【共著】

作家の平野啓一郎さんとの対談による共著が刊行されます。

コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻……人類史レヴェルの危機に直面し、私たちは正念場を迎えている。今こそどんな未来を選び取るのかが問われているのだ。この歴史の転換期にあたり、天皇論や三島由紀夫論など対話を重ねてきた二人の知性が、新たな日本のアイデンティティを模索した。蔓延する「日本スゴイ」論を、鍛え抜かれた言葉と思索の力で徹底検証。国を愛するとはどういうことかをラディカルに問うた「憂国」の書。

【目次】
まえがき 大澤真幸

第一章 人類史レヴェルの移行期の中で
 人類的な課題に直面する中で/「日本人として生きる意味」が問われる時代/日本的価値観という難題/
 戦前を総括できなかった日本/「血の共同体」にしかすがれない日本/
 シリコンヴァレーが「人類史」を求める理由/グローバル企業が国家を凌ぐ?/
 フェイクが溢れる中の歴史/「どこで生きるか」をより自由に

第二章 平成を経て日本はどう変化したのか
 西暦と元号のはざまで/元号への愛着/「自分探し」を続けた平成という時代/虚勢の自慢/
 幸福への意識が大きく変化した平成/対米従属というコンプレックス/世界でも突出した中国嫌い/
 イチローに見る今後の生き方/天皇制をどう捉え直すか

第三章 世界から取り残される日本──あの三島がその三島になった理由
 三島由紀夫は何を遺したのか/あの三島はなぜその三島になったのか/連帯を阻むものの正体/
 「生政治」が生み出す社会の分断/ブルシット・ジョブをめぐって/コロナが露わにした日本の凋落/
 監視社会化にどう対応していくか/死という運命を受け入れた先へ

第四章 破局を免れるために──環境・コモン・格差
 コモン化は可能なのか/未来の人々との連帯は可能か?/出版文化におけるコモンの働き/
 人間の欲望をどう評価する/コモン的な「分人」の可能性/資本主義が内包する未来という観念/
 絶望から始めよう/「カッコいい」という美意識/憲法九条をめぐって/日本に最も欠けているもの

第五章 「国を愛する」ということ──ロシアのウクライナ侵攻をめぐって
 西側のダブルスタンダード/「愛国」とは?/理念と建前の逆転──新しい時代の戦争/
 プロパガンダ、陰謀論が渦巻くメディアの現状/「手段の正義」と「目的の正義」/
 問題を解決するために必要なこと/日本は、世界はどこへ向かうのか/
 互いに嫌いな隣人同志が共存するために/世界の中で日本がよく生きるために

あとがき 平野啓一郎
注釈

中央公論新社HP(https://www.chuko.co.jp/laclef/2022/07/150769.html)もご覧ください。