「敗北の官能」から自由が立ち上がる:対談:医学会新聞

『リハビリの夜』(医学書院)の著者・熊谷晋一郎氏との対談が、「医学会新聞」2010年11月15日号に掲載されています。「「敗北の官能」から自由が立ち上がる」と題された対談は、脳性麻痺者である熊谷氏との、身体や意思をめぐる「自由」論となっています。

熊谷  一人暮らしを始めたから特に意識するようになったのは、身体の内外の境界線は健常者ほど自明に引かれていないということです。電動車椅子に乗ったとき、トイレ介助をお願いしたとき、車椅子や介助者が、まるで自分の身体の輪郭と一体化したように感じられるのです。
(中略)ある程度の’あそび’は保ちながらも、私の動きとかなりリンクして動いてくれるflexibleな協応構造を持つものならば、身体に取り込まれる—身体化されるのではないか、と思ったのです。
大澤  ’あそび’を保つということは、エージェントの集合が餅のように完全に一体化するのではなく、”つぶつぶ感”が残っているくらいがよい、ということですよね。

この対談は『リハビリの夜』の第9回新潮ドキュメント賞受賞を記念して行われました。『THINKING「O」』に完全収録予定です。