現実と乖離してもなお必要な「理念」:エッセイ:リバティーンズno.4

加藤典洋『さよなら、ゴジラたち』岩波書店の書評です。大澤は、見田宗介の戦後史における時代区分「理想の時代/夢の時代/虚構の時代」の「夢の時代」を理想と時代と虚構の時代に分け、現代を「不可能性の時代」としました。加藤氏は夢の時代を解消した大澤を批判しています。以下はエッセイの一部。

「私は、最初、加藤たち団塊の世代が青春を送った時代が積極的な位置をもたなくなったことに違和感をもったのかと思ったのだが、加藤氏の批判の要点は、そんなケチなことにあるわけではない。夢の時代とは、理想(理念)が現実に定着する力を失いながら、なお解消されずに生き延びていた時代である。とすれば、この時代に積極的な意義を認めるべきではないかと、というわけである。この批判には応える必要がある」