河出ブックスの1冊として『生きるための自由論』が10月中旬より発売されています。
20世紀末期、最大の政治的事件たる冷戦の終結は、「自由」の魅力に旧社会主義圏の人々が触発されたことによる連鎖反応として引き起こされた。しかし人間の最重要の価値を認められている「自由」とは何か、自由と自由主義を論じた論文を収録。
まえがき
Ⅰ〈自由〉の所在
1 「心−脳」問題と自由意志
問題/脅かされる自由意志の地位
2 心−脳の基本的な関係
デイヴィッドソンの非法則論的一元論/心−脳の基本的な関係/ベンジャミン・リベット批判
3〈社会〉としての脳
脳科学の教訓/盲視/幻肢の治療/カプグラ症候群/右脳と左脳/エイリアン・アーム
4 可能=受動
潜在能力/日本語の「(ら)れる」/可能と受動
5 快楽と苦痛
快感原則を越えて/欲望の原因/対象のギャップ/自由の社会性
6 政治思想的含意
新たなる傷/エリコに下る道
Ⅱ連帯の原理としてのリベラリズム
1 社会構想の二つの矛盾する目的
2 リベラル・ナショナリズム/憲法パトリオティズム
リベラル・ナショナリズム/憲法パトリオティズム/ナショナリズムの二つのアスペクト
3 リベラリズムへの純化
「真の普遍主義」/Cogito/資本主義との連動
4 新しくて旧い批判
リベラリズムの三つの論拠への批判/多文化主義的批判の新しさ/旧さ/形式の実質的効果
5 普遍性の発生
マルクスの疑問/普遍性の発生/資本主義の驚異的な適応能力/不寛容への寛容
6 規範/反規範
非公式の(反)規範/リベラルな革命がありうるとすれば・・・
7 自由の根源へ
「私は私である」/身体の自己所有/もうひとつの〈自由〉/連帯の原理としてのリベラリズム
付 一つの壁から無数の壁へ
あとがき