「〈世界史〉の哲学」第29回

発売中の「群像」2011年7月号に連載評論「〈世界史〉の哲学」第29回が掲載されています。
「受け取る皇帝/受け取らない神」
 第29回「受け取る皇帝/受け取らない神」

(略)
 もし中世の真っただ中にあたるような時期、つまり一二世紀頃に、知性をもつ宇宙人が地球にやってきて、一定の観察の後に、その後の人類の運命について予想したとすれば、中国こそが近代化を主導するだろう、と断定したことだろう。その頃、中国は、あらゆる点で、つまり経済的にも、政治的にも、軍事的にも最も発展した地域であり、どの分野でもヨーロッパをはるかに凌駕していた。
(略)中国は、どうしてその圧倒的な優位を守ることができず、むしろ、あらゆる点で後塵を拝することになったのか? こうした帰結を知っているわれわれとしては、どうしても問わざるをえない。中華帝国が、西ヨーロッパのように周辺を征服し、支配し、そして体系的に搾取することによって、経済的・軍事的に発展しようとしなかったのはどうしてなのか? 中華帝国には、それができなかったのか? それとも、できたのにあえてそうしなかったのか?

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