『サイバネティックス』に「解説」

岩波文庫で復刻されたノーバート・ウィーナー『サイバネティックス』に解説「サイバネティックス 20世紀のエピステーメーの中心に」を寄稿し収録されています。「ウィーナーの『サイバネティックス』の復刻が有意義なのは、この本がかつてよく読まれた有名な本だったから、だけではない。本書の復刻にとりわけ価値があるのは、「サイバネティテックス」というアイデアが、つまり「制御の科学」を成り立たせている基本的な着想が、古典主義時代にとっての「表象」や19世紀の西洋の諸学問にとっての「人間」とよく似たような意味で、20世紀の中盤の知の諸領域を横断して、それらを構造化する中心をなしているからである」。社会学の「機能主義」や、ヘーゲルの「理性の狡知」をサイバネティックスの観点を踏まえ論じています。