「〈世界史〉の哲学」第62回 近世篇8 奴隷の軍人

発売中の「群像」2014年6月号に連載評論「〈世界史〉の哲学」第62回近世篇8「奴隷の軍人」が掲載されています。
00_群像_2014年6月号

この制度[デヴシルメ]は、世界史的な観点から見ると、たいへん特殊なものである。つまり、この種の制度は、イスラム圏でしか見られなかった。これは、たいへん一般的な問題に対する、きわめて特殊な解なのだ。たとえば、中華帝国で、蛮族から無理矢理連れてきた者を奴隷にして、漢字や儒教を教育することで、官僚にする、というようなことはなかった。「蛮族」的に位置づけられていた周辺的な民族が中原に浸出し、自ら文字や儒教を学習して統治者になったことは何度もあった、にもかかわらず、である。後にイスラム圏になったところでも、イスラム教の登場・普及の前には、こんな方法はなかった。どうして、イスラム圏でだけ、このような制度が活用されたのか。イスラム教の下でのみ、このような方法が有効だったのは何故なのか。
(「2 軍事奴隷システム」より)

1 失意のロレンス
2 軍事奴隷システム
3 部族主義に抗して
4 ジャーヒリーヤとイスラム
5 法家とイスラム

もくじなど「群像」の詳細は下記の公式HPをご覧ください。
http://gunzo.kodansha.co.jp/27915/31919.html