PR誌「本」(講談社)での連載「社会性の起源」第6回が、2014年6月号に掲載されています。
人間の幼児においては、両方向の対応が一挙に確立される。この点にこそ、言語の本質がある。両者を別々に学習するチンパンジーと、同時に学習してしまう人間とでは、何かが根本的に違っている。謎は、チンパンジーの側にではなく、人間の側にある。チンパンジーは、教えられたことを、まさに教えられたようにできるようになった、というだけのことである。だが、人間はどうして、両方向の対応づけが同時にできるようになるのか。(略)
確認文と遂行文
哲学の諸学派の中でも最も地味なグループで唱えられた理論が、この問いに回答するためのヒントを与えてくれる。この学派、つまり日常言語学派の創始者(の一人)、ジョン・オースティンが、ヒントの提供者である。彼の基本的な着想は、『いかにして言葉でことをなすのか』という含蓄のあるタイトルの著書から知ることができる。
(「謎は人間の側に」〜「確認文と遂行文」より)
第6回「呪文のごとき宣言文」
・謎は人間の側に
・確認文と遂行文
・言葉と世界の間の「適合方向」
・トリッキーな宣言文
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