成田龍一さんとの共著『現代思想の時代』

雑誌『現代思想』の創刊40周年を記念して、歴史家の成田龍一さんと行った連続対談が書籍化されました。

9784791767908_現代思想の時代_近代の枠組みに囚われつづけた草創期=「理想の時代」、あらゆる価値が相対化された、ポストモダンブームの80年代=「虚構の時代」、そして阪神大震災・オウム事件という、現実のリアルな物質感が回帰してくる95年以後=「不可能性の時代」……。そして、3・11以後の、これからの思想のゆくえを考える好対談。
付録・『現代思想』特集総覧。

 この対談は、私にとっては、いくつもの幸運の重なりの結果として実現した。
 まず、二〇一三年がちょうど『現代思想』誌の四〇周年にあたっていたということ。その記念として、『現代思想』の編集部が、成田龍一さんと私とを対談させてみようと思いついたこと。そして、その成田龍一さんこそ、まさに私が対談したいと切望していた相手だったこと。
 二〇一一年三月十一日以降、私は、すぐれた歴史学者と対談したいと強く思うようになっていた。次のような事情からである。私は、二〇〇九年より「〈世界史〉の哲学」と名付けた研究のプロジェクトを続けており、歴史について以前よりも深く考えるようになっていた。そうしたなかで、3・11の破局的出来事を経験したことで、私のなかに、自分自身の探究そのものをあらためて反省しつつ、「歴史を書くこと」「歴史を読むこと」の可能性の条件を考察したいという痛烈な願望が出てきた。その際、私は、自分一人で内省するのではなく、歴史学者のまなざしを媒介にして考察を深化させたい、そうしてこそ意義がある、と考えた。(「おわりに」より)

【目次】
はじめに(成田龍一)
1 「理想」の終焉、「虚構」の胎動:1973-1995
    序
    七〇年代ーー「理想の時代」と「虚構の時代」の狭間で
    現代思想の「日本」
    八〇年代ーー相対化のジレンマ
    「虚構の時代」の両義性
    九五年ーー歴史と記憶、政治と抵抗
2 回帰する不可能な〈歴史〉:1995-2011
    九五年への助走・再論
    カルチュラル・スタディーズという「場」
    東アジア、戦後日本、新自由主義
3 3・11以後と〈世界史〉の哲学:2011-
    「〈世界史〉の哲学」
     ▷古代篇
     ▷中世篇
     ▷東洋篇
     ▷日本
    3・11ーー未来の他者、渦中の思想
おわりに(大澤真幸)
特集総覧

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