『現代社会の存立構造/「現代社会の存立構造」を読む』真木悠介・大澤真幸

社会学者・真木悠介が『資本論』を発展的に継承し、近代社会を成り立たせている論理の骨格を論じた『現代社会の存立構造』。刊行時、多くの読者に強い衝撃を与えたこの書物の復刻版に、解題と「発展篇」としての論文を付した、『現代社会の存立構造/「現代社会の存立構造」を読む』(朝日出版社)が刊行されました。

【刊行記念】2014年11月14日、東京堂書店にて吉川浩満さんとの対談イベントが行われます。

本書は、真木悠介ーーつまり私の社会学の師ーーの『現代社会の存立構造』の復刻版である。『存立構造』は、1977年に筑摩書房から刊行された。現在は絶版になっており、岩波書店から出されている『定本 真木悠介著作集』(2012-13年)にも、収録されなかった。本書には、『存立構造』をそのまますべて再録すると同時に、後ろに、私、大澤による長めの解題と、本書をめぐる論文とを収録した。
『存立構造』は、近代社会を成り立たせている論理を、その最も本質的な骨格において提示した書物である。この本が刊行された1977年は、私が大学に入学した年である。この本は、当時日本で、社会をその原理的な水準から理解しようとしていたすべての人、とりわけ若い読者に強い衝撃を与えた。社会の中の特定の現象や部分領域を主題にするのではなく、近代社会の、総体としての構造と仕組みを、根本から理論化しているという点では、『存立構造』ほど包括的な書物はない。と同時に、最も重要で本質的なメカニズムに焦点を絞り、枝葉末節を完全に断っているという点では、これほどコンパクトな本もない。
『存立構造』が提示している論理の意義や妥当性は、刊行後40年近く経った今日でも、いささかも失われていない。つまり、ここに書かれていることは、現代のわれわれの社会の仕組みを理解する上でも、十分に有効である。『存立構造』をあえて復刻する理由は、もちろん、ここにある。(まえがきより)

〈目次〉
まえがき(大澤真幸)

現代社会の存立構造(真木悠介)
 1 現代社会の存立構造 物象化・物神化・自己疎外
 2 疎外の内化と基礎理論 支配の論理と物象化の論理
 あとがき

『現代社会の存立構造』を読む(大澤真幸)
 読解の二つの段階

 『現代社会の存立構造』解題
   序 外化をとおしての内化
   1 外化の疎外への転回 収奪の論理と物象化の論理
   2 共同体的な回路の転回 (1)〈疎外←→収奪〉
   3 商品世界の存立構造 (2)〈疎外←→物神化〉
   4 市民社会的回路の転回 (3)〈疎外←→蓄積〉
   結 物象化の総体的な展開 経済形態・組織形態・意識形態

 『現代社会の存立構造』の行為事実を読む
   1 トートロジーという嫌疑
   2 行為事実的な媒介
   3 社会現象の転換ヒステリー
   4 Rの謎とその発展
   5 三位一体論
   6 行為としての思考
   7 剰余価値の問題
   8 「Aからの疎外」から「Aへの疎外」へ、そしてもう一つの疎外
   結 「それ」を直視できるときは……

あとがき(大澤真幸)

下記、朝日出版社HPもご覧ください。
http://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255007892/