【新刊】戦後思想の到達点  柄谷行人、自身を語る 見田宗介、自身を語る【共著】

戦後75年、気鋭の論客が戦後知識人を再評価する新シリーズ「戦後思想のエッセンス」創刊! その創刊第0号として刊行されます。

2人の「知の巨人」は、いかに思考を紡いだのか?
戦後思想を牽引した柄谷と見田。2人の思想のポイントとは何か? 2人は日本人と人類の未来をどう展望しているのか? 巧みなインタビューと解説で、両者の思考の軌跡を浮かび上がらせる。柄谷思想&見田思想のまたとない入門書!

戦後というコンテクストとの関係で、二人の思想を考えたとき、二つのはっきりしとしたベクトルを認めることができる。一方で、柄谷氏にしても見田氏にしても、戦後の思想から──あるいはより広く日本近代の思想・学問から──刺激を受けつつ思考を展開してきたし、また戦後の社会的な出来事に敏感に応答してきた。二人に対しては、吉本隆明、鶴見俊輔、柳田国男等々、同じく「戦後」というコンテクストに参画した先行者たちがいる。つまり二人が、ときに批判的に克服し、ときに肯定的に継承してきた幾人もの戦後的な思想家がいる。また、二人は、六〇年代末期の学園紛争や七〇年代初頭の連合赤軍事件等、戦後という時代の性格を濃厚に反映した出来事に対して敏感に反応してきた。憲法問題や公害・環境・原発問題をはじめとする多くの戦後の政治的・社会的事象に対しても、それらを分析し、それらに対して発言し、行動してきた。
しかし、他方で、柄谷行人氏も見田宗介氏も、戦後というコンテクストからの自由度においてもずば抜けている。二人は、戦後日本でしか意味がないようなことを語ったり、書いたりしてきたわけではないし、戦後の日本人にだけ向けて思想を送り出してきたわけではない。戦後思想の最大の課題は、戦後そのものを止揚することである。とするならば、戦後の束縛から自由に考え、探求することができた二人の思想にこそ、日本の戦後思想の未来を展望する窓がある。
「まえがき」より

目次
まえがき 戦後思想の二つの頂点 大澤真幸

Ⅰ 『世界史の構造』への軌跡、そして「日本論」へ   柄谷行人×大澤真幸

 イントロダクション 交換様式論とは何か 大澤真幸
      生産様式論の限界
      交換様式の四つのタイプ
      交換様式から世界システムを見る
      原遊動性Uの回帰
 1  言葉への独特の感覚
 2  漱石のどこに注目したのか?
 3 「ルネサンス的」文学とは何か?
     『アレクサンドリア・カルテット』の新解釈
     ドストエフスキーは近代文学ではない
 4  なぜ「交換」に注目するのか?
     宇野弘蔵の導き
    「交換を強いる力」とは何か?
     剰余価値への新たな視点
     空間的移動へのこだわり
 5  世界最先端とのシンクロ
 6  コミュニケーションの非対称モデル
 7  ヒーローはソクラテス
 8  交換様式Dとは何か?
     来るべき共産主義
     交換様式から歴史を見る
 9  回帰する貴族
 10「強迫的な力」はどこから来るのか?
     移動への愛着
 11 単独性と普遍性はどう結びつくのか?
 12 翻訳されることを前提に書く
 13「日本」はどういう意味を持つのか?
     日本国憲法の意義
     日本の独自性は「亜周辺性」にあり
     柳田国男の「日本列島」観
     日本は「亜周辺性」の意義を再考せよ

Ⅱ  近代の矛盾と人間の未来   見田宗介×大澤真幸

 イントロダクション 「価値の四象限」と「気流の鳴る音」 大澤真幸
     快楽原理の二つのジレンマ
    「気流の鳴る音」の用語について
     愚をコントロールする
    「意味への疎外」からの解放

 1  森羅万象の空 戦争体験の最後の世代
 2  社会学というアリーナ 『価値意識の理論』(一九六六年)
 3 〈人生のひしめき〉としての社会 『まなざしの地獄』(一九七三年)
     永山則夫からの返信
     データから実存を読む
 4  全共闘との論争 真木悠介というペンネーム
 5  マルクスをどうのりこえるか 『現代社会の存立構造』(一九七七年)
 6 〈外部〉への旅 『気流の鳴る音』(一九七七年)
 7  生と死のニヒリズムをどうのりこえるか 『時間の比較社会学』(一九八一年)
     封印された二つの根本問題
    「コヘーレス」を手掛かりに
 8  りんごの果汁 『宮沢賢治』(一九八四年)
    「岩手山」の衝撃
    「春と修羅」という反転
 9  愛とエゴイズムの生命社会学 『自我の起源』(一九九三年)
     生命の全歴史の探求
     生命体にインストールされた共生の装置
 10 情報化と消費化の可能性と限界 『現代社会の理論』(一九九六年)
 11 人類史的な転回 『現代社会はどこに向かうのか』(二〇一八年)
     人類史のS字曲線
    「高原の見晴らし」を切り開く
 12 軸の時代Ⅰの思想/軸の時代Ⅱの思想
     信仰・道徳に頼らずに二つの課題を解く
    「有限性」を生きる「共存」の思想へ
 補 「戦後」について。「日本」について

終章  交響するD 大澤真幸

 1  交響するD
     まったく新しくかつ最も古い交換様式
     交響圏とルール圏
     集列体から連合体へ
     交響するD
 2  意味の呪縛
     自然──輝く闇としての
     時間のニヒリズム
     意味という病
 3 〈他者〉の二重の謎
     イソノミア
     イオニアの自然哲学
     ソクラテスの産婆術
     自由の条件としての〈他者〉の二重の謎
 4  根をもつことと翼をもつことの一致

柄谷行人年譜
見田宗介年譜
あとがき 柄谷行人 見田宗介 大澤真幸

下記のNHK出版HPもご覧ください。
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000818022019.html